夏期セミナーは埜塾が毎年リベラルアーツの一環として行っている郊外学習であり、大げさに言えば20数年の歴史と伝統を誇るものです。原則全員参加であり、八ヶ岳(パラグライダー)、北軽井沢(乗馬スクール)、伊豆下田(シーカヤックスクール)の三カ所に各年ごとに行き、スクールに入り体験学習をします。またスクールだけではなく、三年間で世界遺産関連の富岡製糸場や甲府善光寺、火山博物館、群馬天文台、神奈川県立博物館、群馬県立自然史博物館、向井千秋宇宙科学館等の見学、また匠の里での製作体験も行います。例えば静岡県下田ではペンションが宿舎で、オーナーの北川さんは食事等何かと気を配ってくれる、とても理解のある方です。八ヶ岳の宿舎の稲子湯(信州秘湯会の会員です)、北軽井沢の宿舎などセミナーの場所は繁華街がない、食事がしっかりしている(塾長は味にはうるさいので)、危険な所が原則ない、毎回必ず下見を行う、宿やスクールがセミナーの趣旨を理解してくれて非常に協力的(値段の面でも)である等の条件の元に選択した場所です。また金額の中には、初日の昼食以外(シーカヤックスクール代、二日間の昼食、宿泊費、博物館等の入場料、バス代等)が全て含まれます。兄弟等の同時参加による割引があります。中学生になると、特に御家庭によっては、子供が親と話さなくなった、何を考えているのか分からないといった声をよく聞くようになります。これにはある出来事が強烈に残っているのでお話します。場所は八ヶ岳、その夜は文字通り星が降るような夜で20数年来の伝統の肝試しが終わった後でした。何気なく彼と話した時、『塾長、自分はA高校にいきたいのだけれど、親の意見は違うんだ。』とぽつりと話してくれました。そして自分の夢、将来の考えを切々と語ってくれました。後日進路決めの家庭訪問時に、保護者のお母さんが、『この子はあまり自分の意見が無いようなのですが。』と切出された時に、私は『いや実は、』とその星降る夜の事をお話いたしました。聞き終わったお母さんは大きなため息をつかれて、『そうでしたか、そんな話は私たち親には一言も話してくれませんでした。』と言われました。勿論家庭の事情がバックにあった事は言うまでもありません。高校が決まって希望の高校の合格報告にお母さんと来塾された時に、最後に彼ははにかみながら『塾長いろいろありがとう、さようなら!』と手を振った事を今でも鮮明に私は覚えています。あの星降る夜に彼と話をしていて、本当に良かったと。塾でのクラス会があると、必ずセミナーの話が出るのは愛嬌としても、よくまあ卒業生はよく覚えているものだなと思います。でもそれだけ印象が強いのでしょう。最近リヴェラル アーツ(直接職業や成績に結びつかない文芸、スポーツ、教養の事を指します)を標榜する高等学校や大学が増えつつあります。例えば私立の花咲徳栄高校もそれを学校の理念として掲げています。教育を行っていく上で本当に大切な事の一つであるという教育家や先生もいます。例えばもう行われなくなった臨海学校(溺れたら誰が責任をとるのだという理由)、回数の減ってしまった社会科理科見学、遠足、文化祭。特に中学校の文化祭等がなくなるのは、学校が荒れる一翼を担っていると思って塾長は疑いません。マラソン大会もしかりです。クラスがまとまる、意見をぶつけあって最善の方法を模索する、言うだけではなく行動する、他人の意見も尊重する、人間関係をより良いものにするためにはどうしたら良いか考える等。そのようなシチュエーションが昔から比べてどんどん減ってきました。我々の地元の中学では、化石を採集する遠足や登山クラブ(二泊三日)など、そういった直接は成績とは関係のない行事がたくさんありました。間接的には、理科や社会に関心を寄せる、よい経験だったと覚えています。勿論それだけではないのですが。
普段自分が体験しない、出来ない経験をすることは、彼らにとってかなり強烈な印象を与えるものです。乗馬では、自分の勝手だけでは馬は動いてくれません。塾のセミナーの乗馬は、よくある小さい子用の引き馬ではありません。伊豆下田で行うシーカヤックでは、インストラクターが付き、ライフジャケットも着用しますが、原則海へ出たならば自分で責任を持たなければなりません。パラグライダーで空を飛んでいる時も同じです。塾は勉強さえ教えていれば良いという考えもあります。最近塾長同士集まることが多いのですが、このような実績に繋がらないようなことをいやがる大規模な塾もあります。でも経営側からみればそれは仕方が無い事であると思います。先日埼玉県の北部で進学塾を経営されているK先生に、『赤井先生、どこに連れて行っているのですか?』というお話がありました。私は話をしてDVDを貸しました。実は先生も小学生をキャンプに連れて行っているとの事でした。私は、よければ宿からスクールまで全て紹介すると言い、先生は是非お願いしますとの事でした。我々のように、多感な時代の学生や生徒を預かっていて、教えるのは本当に勉強だけで良いのか?本当に勉強だけ教えていて、幸せになることに役に立つのか?昔の学校はそうではなかったのではないか?本当に役に立つ物の中には、見えない物もあるのではないか?とよく昔は自問自答しました。大切なものの中には、目に見えないものも多い事がこの歳になってわかりました。竜宮の使いとは?なぜ恐竜は栄えたのか?右を漕げば船体は右に曲がるのか?ラフレシアの実物の色は?蝶はどのくらいの距離を飛べるのか?例えばこれらのことはセミナー(伊豆下田)で実地に答えが出ます。サマーセミナー費用に関してサマーセミナー費用:¥33,000(税込、平成29年度例)セミナー費用には、往復交通費(バス代)、宿泊費、博物館等入場料、シーカヤック/乗馬/パラグライダー等各スクールの入校費用全て/中日及び最終日の昼食費/講習費(英数国/中三のみ)等の全てが含まれます。費用に含まれないもの;匠の里での製作体験実習(生徒により製作するものが異なるため)、初日の昼食、小遣い、土産代等
※なお、2020年度はコロナ禍の為、サマーセミナーは実施できませんでした。